【PMP学習体験】PMP学習から見えてきた「会話」の力|プロジェクトマネジメントに不可欠な本質スキル

PMP(Project Management Professional)資格を勉強していて「理論は理解したのに、現場で活かせない」と感じたことはありませんか?
本記事では、PMP学習を通じて見えてきた“会話力”の重要性を、プロジェクトマネジメントの現場経験とともに解説します。

PMP学習で気づいた「知識だけでは足りない」理由

私は現在、PMP(Project Management Professional)資格の学習を進めています。PMPは国際的に認知されたプロジェクトマネジメント資格で、取得には膨大な知識体系やプロセスを理解する必要があります。

テキストを開けば、変更管理の手法、リスク対応の技法、ステークホルダー整理の方法、アジャイルの作法、スクラムの基本概念など、数多くの理論が登場します。もちろん、これらを体系的に学ぶことはプロジェクトマネージャーにとって必須です。しかし学習を重ねるほどに強く感じるのは、知識や技法そのものが成功の鍵ではないということです。むしろ、それらを現場で機能させるために不可欠なのは「会話」の力だと気づきました。


「機能はできているのに、なんか違う」|プロジェクトが「イメージと違う」となる原因

実際のプロジェクト現場では、会話不足によるすれ違いが頻繁に発生します。

例えば、顧客から「この機能を実装してほしい」と要望を受け、要件定義や仕様書に落とし込み、予定通りに開発を完了。テストも通過し、こちらとしては「完了」と報告できる状態になったとします。ところが本番利用の段階で顧客から「いや、そうじゃない」「イメージと違う」と言われてしまう――これは決して珍しいことではありません。

多くの場合の原因は、その機能を通じて実現したい価値や解決すべき課題が十分に共有されていないことです。顧客が要望した「機能」は単なる手段にすぎず、背景にある期待や理想像が言語化されないまま形だけの機能が完成してしまう。その結果、「要件は満たしているのに成果につながらない」という状況が生じます。


顧客と導入側の視点ギャップと言語のズレ


もう一つの大きな要因は、顧客と導入側の視点や言語のギャップです。

導入側にとっては「システム導入」そのものが目的化してしまいがちです。たとえば「商談管理のためにSalesforceを導入する」「会計システムを一新するため新しいERPを立ち上げる」といった具合に、導入自体をゴールと錯覚するケースがあります。

一方、顧客にとってシステムはあくまで課題解決の手段であり、真のゴールは業務改善やビジネス成果の実現です。このギャップは、プロジェクトが進行するほどに「導入側は成功と考えるのに、顧客は失敗と評価する」といったすれ違いを生みます。

さらに厄介なのは、同じ言葉を使っていても顧客と導入側で意味が異なることです。例えば「ワークフロー」や「承認」という用語を使っても、顧客はビジネスプロセスの話をしているのに、導入側はシステム機能の定義として理解してしまう。

また、顧客がシステムに関する会話を十分理解できないまま「Yes」と答えることもあります。しかし導入側はそれを「ALL AGREE(全員合意)」と解釈し、合意形成ができたと判断してしまう。こうした言葉のズレや認識の誤解が、後々大きなトラブルにつながるのです。


会話を通じて「目的」を掘り下げる

このようなすれ違いを防ぐには、会話を通じて本当の目的を掘り下げることが欠かせません。

単なる機能リストの確認で終わらせるのではなく、顧客に次のような問いかけを行うことで、真のニーズを引き出すことができます。

  • 「この機能を導入することで、最終的にどんな状態を実現したいですか?」
  • 「現状の課題は、具体的にどのような非効率やリスクを生んでいますか?」
  • 「理想的に活用できたとき、ユーザーはどんな体験を持つと良いですか?」

こうした問いを繰り返し、互いの言葉の意味をすり合わせることで、単なる「機能要件」から一歩進んだ「解決すべき課題」や「得たい価値」が明確になります。場合によっては、会話の中で顧客が本質的な課題に気づかれることもあります。その結果、仕様検討や設計の精度も大きく向上します。


PMP学習と実務のつながり

PMP試験では、知識体系(PMBOK)に基づく管理手法やプロセスを学びます。これはプロジェクトマネジメントの基盤として重要ですが、現実のプロジェクトは知識だけでは動きません。

プロセスや技法はあくまで「道具」であり、それを有効に機能させるのは人と人のコミュニケーションです。

当社の執行役員はしばしば「プロジェクトは壮大な伝言ゲーム」と表現します。最初に意図していたメッセージが、関与する人を経るごとに微妙に形を変え、最後にはまったく違う意味で受け取られてしまうことがある。例えば、最初は「この課題を解決するためシステムを改修する」だったのが「この機能を実装する(本当の課題はどこへいった??)」この場合、もしかすると単体の機能では本当の課題が解決できないかもしれません。

これは子どもの遊びである“伝言ゲーム”と同じ構造です。要件定義や仕様の言葉が少しでも誤解されれば、最終成果物は当初の期待とかけ離れたものになってしまいます。

この比喩が示すのは、プロジェクトにおける最大のリスクは「情報が正しく伝わらないこと」だという点です。だからこそ、単にドキュメントを整えるのではなく、会話によって意味を確認し合い、解釈のズレを潰していくことが不可欠なのです。

結局のところ、プロジェクトを成功に導くのは「会話を通じて目的、現在の課題を共有できるかどうか」。言い換えれば、会話こそ最もシンプルで効果的なプロジェクトマネジメント手法だと強く感じています。


まとめ|PMP勉強で得た5つの学びとプロジェクト成功の秘訣

PMP学習を通じて得た最大の学びは、次の5点に整理できます。

  1. 機能が実装されても「イメージと違う」となるのは、目的や価値が共有されていないから
  2. 顧客と導入側には「導入は目的か手段か」という視点のギャップがある
  3. 同じ言葉を使っていても意味が異なるなど、言語・認識のズレがしばしば発生する
  4. このギャップを埋めるには、会話を通じて背景や理想を引き出すことが不可欠
  5. 会話は一見非効率に見えるが、実は最も効率的な成功への近道である

PMPの勉強を進める中で、知識の習得だけでなく、会話の力こそがプロジェクトマネジメントの本質であると改めて実感しました。

資格取得を目指す方にとっても、実務でプロジェクトを推進する方にとっても、「会話を通じた目的共有」は成功の鍵です。私自身も今後、PMP試験合格を目指しつつ、この学びを現場で実践していきたいと考えています。

PMPの学習は知識の習得にとどまりません。「会話」を通じて相手の意図を理解し、真の目的を共有する――それこそがプロジェクト成功の本質です。

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