会社の成長に従って乗り越えるべき「ひずみ」とは?SalesforceとBacklogを活用したプロジェクト管理戦略

2023年11月9日(木)に開催された「営業組織とプロジェクト管理の新戦略セミナー」の内容を紹介します。このセミナーは株式会社セールスフォース・ジャパンと株式会社ヌーラボと弊社が共同開催したものです。今回は弊社プレゼンテーション部分を主に説明いたします。

AI技術が進歩する中、情報急増に業務が振り回され、本来業務でなく付帯作業に工数をかけてしまうことはないでしょうか?「DX」に取り組んでいるものの業績の伸びが思うようにいかないという悩みはございませんか?
本セミナーではSalesforceを主軸とし、Backlogを使用することで弊社がどのように業務を管理し組織として成長しているか具体例とともに紹介いたしました。

セミナー開催の背景と概要

「AIを始めとした急速にテクノロジーが発展している昨今。如何に最新のテクノロジーを活用して、新たな時代に備えるか――企業にとって「DX」への取り組みは必要不可欠なものとなっています。さらなる売上成長を実現するためには、「営業組織におけるDX戦略」の確立が重要な要素の一つです。同時に、全社一体となった情報連携・コラボレーションを通じて、組織の成長を支える「エンゲージメント戦略」も欠かせません。

セミナーでは、営業組織におけるDX戦略とエンゲージメント戦略について、デモンストレーションも交えながら具体的なアプローチを紹介いたしました。

ADXのこれまでの取り組みについて

ADX Consultingは、Salesforce社およびヌーラボ社のサービス導入や技術の支援を行う公式パートナーです。ADX Consultingでは「Backlog」「Cacoo」を活用した業務改善を進めてきた経験を活かし、SalesforceとBacklogをボタンひとつで連携できるアプリケーション「BacklogSync」を開発しました。ヌーラボ社のブランドメッセージである『“このチームで一緒に仕事できてよかった”を世界中に生み出していく。』を共に実現するために日々邁進しています。

セミナー「SalesforceとBacklogを活用した​プロジェクト管理戦略​」

1.「ひずみ」を乗り越える

組織が成長する際、事業の拡大に伴い4つのステージごとに抱える課題は変化していきます。また課題は「ひずみ」と言い換えることもでき、それまで順調に進んでいた方法があるときうまくいかなくなるといった、従来とおなじやり方では通用しない時期がかならず到来します。
「創業時ステージ」は少数精鋭による成長が見込まれ、そのままの勢いで成長しますがやがて人数の少なさによる限界を迎えます。ある程度まで成長した「創業期ステージ」は業務スタッフの増加により次期ステージに進みます。
そして「拡大化ステージ」では属人的な貢献により成長します。マンパワーによる成長は対応する個人の能力に支えられており、これもやがて限界を迎えます。
さらに「公式化ステージ」まで進むと属人化は影を潜め、業務のルール化による成長がはじまります。安定成長が見込めますがやがてこれも「行き過ぎたルール化」を招き効率が低下します。
この後「最適化ステージ」が来ます。ここは行動とシステムの最適化による成長ステージです。しかしながらここもやがて「環境変化への対応力の低下」を招くことになるのです。
今回はこの組織の発展段階モデル内の「②拡大化ステージ」から「③公式化ステージ」に進む段階で乗り越えるべき、「属人的な運営の限界」に注目しました。

2. 拡大期の「ひずみ」の具体例

拡大期に生じる「ひずみ」は具体的にどのようなものがあるでしょう。「仕組み・制度」「個人」「コミュニケーション」3つの領域に分けることができ、領域内にそれぞれの観点を持ちます。
「仕組み・制度」の領域は4つの観点をもちます。「方針の立案・展開」「業務機能の分担」「業務機能内のPDCA」「人事制度全般」です。「個人」の領域が持つ観点は「経営層」「中間管理職」「一般社員」の3つ。「コミュニケーション」の観点は「役員・役員間」「部門間」「職場内」の3つが挙げられます。
表内の拡大化ステージに記載されているのが「具体的なひずみ」に共感していただける方も少なくないのでは。
「ひずみ」を放置すると、人材の流出・戦略の延滞による業績の悪化を招きます。業績が低迷している企業ほど「ひずみ」の認識数が多くなります。

3.「ひずみ」を解消するには

​「ひずみ」を解消するために必要なのは「動機づけ要因」と「衛生要因」です。​
動機づけ要因は仕事の意義・やりがいなどを指します。
創業期は経営トップからビジョンやミッションを発信して担保していますが、組織が拡大すると伝わりづらくなります。​
そのためミドルマネジメント層が「トップのビジョンを伝える・メンバーの代弁を行う」ロールを担う必要があります。​
衛生要因は組織の公正性を指します。創業期は動機づけ要因のみで動いていたメンバーから​「公正に扱われていない」「大切にされていない」といった衛生要因に関連する不満が出やすくなり配慮が必要です。​公正性が低下すると経営層が「メンバーが自分から動かない」と認識するような事象が発生する可能性が高まります。​

4. 具体的な課題からアプローチする

次に現実的なケースを検討してみましょう。
これらの”ひずみ”を「問題が大きくなるまで放置されてしまう」「そもそも問題に気づかない」「なんとなく課題を認識していても具体的に何をすればいいかわからない」など感じることはないでしょうか。

円滑に次の発展ステージに進むために「ひずみ」を解決することは必須です。対策を打つために具体的な課題からアプローチしていく方法をADXは提案いたします。今回は5つの「ひずみ」をより具体的な課題に落とし込みます。​
5つのひずみ
・業務範囲のダブりやモレが問題として顕在化する
・我流のマネジメントをしており、組織ごとに業績やメンバー育成に差が生じる
・非効率な長時間労働や上司マネジメントに耐えられず、退職者が増える
・他部門の社員や仕事内容がわからなくなり、部門間の調整に時間がかかる
・中間管理職1人あたりの部下人数が増え、個別のコミュニケーションが減少する

5つの「ひずみ」を「3点の具体的な課題」に落とし込む
課題1:商談・顧客対応のスピードが低下している​
課題2:数がどんどん増えるプロジェクトマネジメントが非効率的​
課題3:プロジェクトの改善を行うための意思決定がしづらい​

5. 3点の具体的な課題

課題1「商談・顧客対応のスピードが低下している」

「業務範囲のダブりやモレが問題として顕在化する​」「他部門の社員や仕事内容がわからなくなり、部門間の調整に時間がかかる」こちらの2つの「ひずみ」は業務スピードの低下を招きます。
「業務範囲の重なりや漏れを確認するための工数」あるいは「部門間の調整」は、本来業務に着手する前段階のものです。前段階で時間がかかりすぎてしまうと本来業務に着手するタイミングが遅くなります。
さらに細分化して見てみると「営業と営業事務の利用ツールが異なる​」「商談や取引先の詳細を営業メンバーしか把握していない​」この二つの問題が見つかりました。この問題を解決するためにSalesforceとBacklogのデータ共有を計画しますが、新たに「営業がSalesforceにある商談の​データを営業事務に共有するために​Backlogに一つ一つ転記している​」問題が生じていました。


この「商談・顧客対応のスピードが低下している」という課題は、ツールの活用で解決できます。​
SalesforceからボタンひとつでBacklogに依頼を作成し、営業の負荷が軽減します。ボタンのクリックだけなのでダブりはモレもなくスピードアップが図れるのです。

課題2「数がどんどん増えるプロジェクトマネジメントが非効率的」

「我流のマネジメントをしており、組織ごとに業績やメンバー育成に差が生じる​」「中間管理職1人あたりの部下人数が増え、個別のコミュニケーションが減少する」こちらの2つの「ひずみ」は非効率なプロジェクトマネジメントにつながります。
「我流のマネジメント」は限られた範囲では有効ですが業務規模の拡大に伴い非効率になります。効率の悪さが「業績の差」「メンバー育成の差」につながるのです。「個別のコミュニケーションが減少」は、部下からの不信感を招き、しかるべきタイミングでの「業務の質問」「理解度の把握」が遅れることにつながります。
「各PL(PM)の抱えている案件数が増える​」「メンバーの抱えているタスクの全体量が見えない​」「プロジェクトのコントロールの難易度が上がる」この三つの問題を解決するためにBacklogを使用しているのですが、「プロジェクト管理者がBacklogだけでは複数のプロジェクトの課題を俯瞰的に把握することが難しい​」という問題が生じました。


「数がどんどん増えるプロジェクトマネジメントが非効率的」という課題も、ツールの活用をすることで解決できます。​
BacklogからSalesforceにプロジェクト情報を連携して、わかりやすい画面で管理できたらPL(PM)も案件のコントロールがしやすくなります。またデータを俯瞰的にみる「訓練」が不要となり、自動生成されるわかりやすい画面をもとにした管理業務に専念できるようになります。

課題3:プロジェクトの改善を行うための意思決定がしづらい​

「プロジェクトの改善を行うための意思決定がしづらい」というこちらの”ひずみ”はPM(PL)から報告を受ける管理職の立場の課題です。
複雑化する案件状況の把握が遅れたため、お客様からの信頼を損ねるリスクがあります。
「各PL(PM)からエスカレーションされたプロジェクトの課題の原因がわからない​​」「各プロジェクトの進捗状況が見えない​」「課題の全体把握ができなくなる」三つの問題を解決するためのBacklogをうまく活かしきれず「進行中プロジェクトの全体が​把握できないため対応が遅れ​複雑な案件の炎上リスクにつながる​」問題が生じてきます。


「プロジェクトの改善を行うための意思決定がしづらい」という課題も、ツールの活用が解決につながります。​
BacklogからSalesforceに情報を連携し、レポート画面で管理できたらPM(PL)メンバーも報告・相談が容易になり管理職の立場からしても対策が打ちやすくなります。レポート画面がわかりやすいダッシュボードで作成され、問題点がどこにあるか客観的に判断できる環境をつくることが可能になります。またPM(PL)メンバーも早い段階での相談がしやすくなり意思決定のスピードアップにつながります。

まとめ

SalesforceもBacklogもどちらも業務効率化を考えたとき最適な役割を果たします。しかし、両者を併用したときに本来業務ではない付帯業務が発生し、業務の「ひずみ」の原因となってしまうことがあります。「ひずみ」を最大限におさえるために「Backlogの課題をSalesforceに連携してレポート機能で可視化」することができれば本来業務に専念できます。社内で発生した「ひずみ」に悩んだ弊社スタッフが、問題を解決するために自ら開発したBacklogを使用したアプローチについて説明しました。

成長する企業は、段階ごとに乗り越えるべき「ひずみ」が発生します。
「ひずみ」を具体的な課題からアプローチすれば​エンゲージメント向上と営業DXの推進も実現できる、これは弊社が身をもって体験したことです。​
ツールをうまく活用すれば「ひずみ」が原因で生まれた​具体的な課題に有効にアプローチできる。ツールを活用し、作成レポートをもとに業務対策をすることで業務が確率します。これは結果として属人化業務をなくすことにつながります。「ひずみ」の抽出や課題解決アプローチの方法も、今後の業績アップと結びつくことを確信します。

今回ご紹介した「BacklogSync」紹介ページはこちらです。お困りの点などございましたらお気軽にご相談ください。
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