SWTT 2023 講演レポート第4回「マイケル・オズボーンほかAIリーダーが語る。AIとの共創術、“信頼”の築き方」

今回は「経営、IT、事業部が共に取り組むデータドリブン経営 〜AI×営業が共創する新時代の営業組織づくり〜」の講演をレポートします。

この講演では、マイケル・オズボーン氏(以下オズボーン氏)をはじめとしたAI事業を推進するリーダーが、AIの活用と今後について語りました。
本レポートでは各テーマに対しての登壇者の見解を記載いたします。

2013年「雇用の未来」から10年 この先の10年で変化する職業・雇用そして「AIよりも人間の能力が優位な領域」とは?


オズボーン氏の17年にわたるAIについて研究の結果、現在の日本49%の仕事はハイスキルな技術を必要としていません。しかし、人間のほうがAIより社会的知性や創造性の点で優れており、技術を必要としない仕事が全てリプレイスされるわけではないそうです。

AIはここ10年、とりわけ昨年の生成AIの対等により、時折創造性において人間を上回る精度をみせています。ただ、AIから創造性を引き出すには正しいプロンプトの記述が必要であり、これまでアウトプットしてきた内容に類似したものを生成しているそうです。
また生成される際の欠陥として「りんごを5個描く」という指示を出しても6個や7個出力してしまうというケースもあります。ひとつひとつの事象に対しては今後補填されていくことが予想されますが、このような欠陥が全体でいくつあるか見えていないことからも、現状では人間のほうが創造性やイノベーションの面では優っているのではないかということでした。

またStability AI Japan株式会社 日本代表のジェリー・チー氏(以下チー氏)、株式会社松尾研究所 取締役 経営戦略本部ディレクターの金 剛洙氏(以下金氏)の話では、例えば広告のクリエイティブを生成AIを用いて作成する際にアイディア出しを指示するといくつかパターンを出してくれるが、どの役割を誰・何に任せるかを判断するプロデューサーや、生成されたAIから採用するものを選び取るキュレーターに関しては、まだ人間のほうが優れているとのことでした。

人間とAIの相互作用から、企業とAIの相互作用へ 個人の集合体であるチーム/組織をどうAIと相互作用させていくべきか?


企業の中でAIを活用していく方法として、登壇者全員「まずは使ってみることが大切」という話がありました。事業に活用するためには、現在実際に保険会社で運転者の年代や状況から事故が発生しやすいシチュエーションを判断して未然に防ぐという活用がされているように、ディープラーニングで学習をさせて判断力を上げることが有効だそうです。
企業のDXという視点ではまずはリーダー層が生成AIを使用した経験があることが大切とのことでした。実際に、企業の重役に向けた講習を行った際には、参加者30名中2名しか利用経験がなく、ハンズオン後にはビジネスの話まで発展していったそうです。

企業が顧客との信頼を構築する − “Trust”を支えるAIビジネスデザイン

ここでは主にハルシネーション*の話になっていました。
現段階では社会からのAIに対する抵抗感もありますが、完全に信頼しすぎるのも考えものです。
例えとして挙げられていた内容で「AIにトム・クルーズの母親に聞いて質問するとメアリー・リー・ファイファーと正しく回答するが、メアリー・リー・ファイファーが誰か聞くと答えられない」というものがありました。
AIは人間とは世界の捉え方が違うため、学習AI同士でテストをして強みと弱みを確認することでより信頼性の高いAIを開発していくことができるのではないかということでした。

*ハルシネーション:人工知能(AI)が事実に基づかない情報を生成する現象のこと

またAIの活用シーンとして大きく期待されるデータ分析に関しては、以下が実現できれば信頼性の高い仕事ができるのではないか、ということでした。
・データの出所と価値の担保
・データのフィルタリング
・アウトプットのフィードバック
まずはデータをインプットしてもあまり影響のない範囲から実施し、人間とAIそれぞれのチェックポイントを設けることで、より確実な分析が実現できます。
AIをうまく活用できれば、これまで社員がデータ分析してバイアスがかかってしまっていた場合、よりフラットな結果を出力してくれることが期待できるそうです。

日本のアドバンテージ、世界に貢献できること


世界に対するアドバンテージは文化が豊富という点であり、アニメに限らず3Dアーティストやゲームにも強いため、AIをクリエイティブに活用できる人が多いということでした。
また、日本は比較的AIに対して受け入れる傾向があるため、日本でのニーズを測ることでより信頼性の高いAIの開発につながるのではないか、とのことでした。
今後日本がAIに対して取り組みを進めていく上では、海外のスタートアップを買って新しいAIを作るのもおもしろい取り組みになるだろう、またDXに関しては遅れが目立つためこの機会にAIを活用したDXに取り組めば推進するきっかけになるかもしれないという話がありました。

Salesforce World Tour Tokyo「マイケル・オズボーンほかAIリーダーが語る。AIとの共創術、“信頼”の築き方」の所感

弊社内でもChat GPTを普段から積極的に触っているメンバーがいるため、改めて未来の展望について専門家の意見を聞くことでより活用方法について視野が広がりました。
「まずは触ってみる」という話にもあったように、新しい技術を受け入れて活用できる体制を作っていくことによって、より日本の市場が大きく成長するきっかけになるのではないでしょうか。

当社ではSalesforceを活用してDXを実現するコンサルティングを行っております。お困りの点などございましたらお気軽にご相談ください。
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